
この写真は、不忍池にて、風に吹かれて軽やかに揺れる風鈴の動きをとらえた一枚です。揺らぎのある描写が、音のない写真に風の存在を感じさせてくれます。真夏の朝、上野を歩くあなたの足元で、まだ目を覚ましたばかりの不忍池がそっと囁きます。池を覆うように咲く蓮の花々が、静かな水面に浮かぶようにして淡く広がり、そのひとつひとつが朝日を受けてほんのりと輝きをまといます。目を凝らし、ほんのわずかな時間差で開く花の呼吸を感じながら、柔らかな光と繊細な表情をとらえるその瞬間、カメラのシャッター音さえもひとつの祈りのように響くことでしょう。そして池の一角には、涼やかな風鈴のディスプレイが風に揺れ、目に映る風景に音の輪郭を与えてくれます。朱の弁天堂、蓮の色彩、透明な音。その三つが偶然のように、しかし確かに調和したとき、あなたのレンズの中に夏が宿るのです。望遠で花の内なる鼓動に迫るもよし、広角で空のひろがりとともに記憶を刻むもよし。不忍池の朝は、単なる風景ではなく、五感で綴る物語の始まりなのです。
- 撮影日時:2025年7月27日
- 撮影者:ぽんさん
- 撮影場所:不忍池
- 住所:東京都台東区上野公園
- 撮影機材:Canon EOS R
- レンズ:Canon EF70-200mm F2.8L IS II USM
- F値:2.8
- SS:1/1000s
- ISO:800